【星連】ファンのみなさま こんにちは 渡部@大阪市立科学館です。 ** 本稿は、自由に複製・改変してお使いください ** 今回の【星空の連帯】は、非常に遅い時間帯になります。  しかし、この時間でないと、しし座流星群は見られないのです。   思い切り早起きをする、夜更かしをする。方法はおまかせします。    気軽に参加の【星連】のポリシーにちょっと反しますが、     特別な夜になるかもしれませんので、ちょっと気合いを入れてくださいね。 なお、インターネットが使える人は下もご利用ください。 http://member.nifty.ne.jp/science/hosiren/leonids2001.html ■第61回【星空の連帯】のガイドです。 ◇目  標 しし座流星群の流星 ◇観察時刻 11月17日夜〜18日朝・18日夜〜19日朝       24時〜翌朝6時までのすくなくとも30分間       (関東〜北東日本は、23時30分からでもOK)      ★できれば、19日未明1時半〜3時半くらいまで★   ※多少、雲があっても、明るい流星は見えることがあります。    薄曇りくらいだったら、空を見上げてみましょう。 ◇観察場所 第1条件:街灯などの光が直接目に入らないところ       第2条件:空ができるだけ開けているところ ◇準  備 時計、懐中電灯(小さなもの。先を布で覆って光を弱める)       筆記用具、防寒の準備、寝転がるための厚手のマットかイス。       テント用のマットがベスト。大きな段ボールを敷物にしてもOK       スープやカロリーの高いお菓子を少々(チョコやチーズなど) ◇防  犯 夜遅い時間の観察になりますので、防犯には十分注意。家から出て       観察する場合は、家の人と一緒か、防犯ベルなどを用意。 ◇防  寒 寒い時期ですので、風邪を引かないように十分注意。のどや足元を       重点的にあたためましょう。毛糸の帽子や、つま先用カイロも効果的。 ■観察の準備 ◇暖かい格好をして外に出ます。   足元は靴下2・3枚重ね。つま先用カイロを入れるといいです。 ◇観察場所で、マットやイスを広げます。   1時すぎくらいまでならイスが、それ以降はマットがいいでしょう。   観察場所は、車がそばを通らないところにします。駐車場などは危険 ◇眼を5分間は暗闇に慣らします。 空のあちこちをながめるといいです。その間も流星が見えると思います。   明るい懐中電灯や街灯を見ないようにします。   見てしまったらやり直しです。 ◆長い時間観察をする人へ ◇トイレなどは事前に済ませておきます。 ◇観察前にコーヒーなどを飲むとトイレに行きたくなりますから、飲むのは  スープなど利尿作用がない(これは先生が説明してね)ものがいいでしょう ■観察方法  観察の最初と最後に次のことを調べてください。   1:空の何割が雲でおおわれていたか   2:星空のレベル(オリオン座で調べます−後述)  次に、10分間ごとに、いくつ流星が見えたかを調べます。  あらかじめ、ノートに   2時 0分   2時10分   2時20分   2時30分   2時40分  と言う風に書いておくと、個数だけをかけばいいので楽です。  観察したら、以下の例にしたがって報告してください。   NIFTY fkyoikus 【理科の部屋】や http://member.nifty.ne.jp/science/   の【星空の連帯】メッセージボードにお願いします。 ◇星空レベルのチェック方法  オリオン座は分かりますか? 場所は以下の通り。 24時〜1時:南東の中天 2時〜3時:南の中天 4時〜5時:南西の中天 6時   :西 中天ってのは、頭の真上と地平線の真ん中くらい。かなり高い位置ですよ。 形は、下の絵の通り、レベルはこのオリオン座の見え方で決めます。 レベルAは、オリオン座の東がわに天の川が見えること レベルBは、レベルC以上に星が見えることです。  レベルC↓   レベルD↓ レベルE↓ ・ ● ● ● ★ ★ ★ ・ ★ ★ ★★ ★★ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ★ ★ ■観察報告 1:観察者:お名前 だれといっしょに見たか 2:観察場所:なんとか県なんとか市どこそこ 3:流星を観察するのは:はじめて、2回目、などなど 4:星空のレベル 観察前 A 観察後 B 5:雲の割合   観察前 3割 観察後 5割 6:見た流星の数(例) 時間帯 流星の数 2:20-30 3 2:30-40 7 2:40-50 5 2:50-00 5 7:感想や質問があればどうぞ ◆そのほか 流星の見えた様子を、絵に描いてみてください。 ◆インターネット中継 (曇ってしまったら) http://www.shishi.jp/  ■流星とは ◇地球外からの物質が,地球に衝突するさいに大気とのまさつで、バラバラに  なって蒸発しながら、大気もろとも光る現象です。特に明るい流星を火球という.  流星の一部は隕石となって地上に落下するが,発光しないで落下する隕石も  あり,すべての隕石は流星であるとは限らない.また,ときに多くの流星が  天空の一点から放射状に流れる現象があり流星群と呼ばれる. ◇流星になる物質(流星物質)のほとんど(99%以上)は太陽をまわる小さな  つぶです.目で見える流星物質の直径は数ミリメートル程度で,  重さは、数百分の1グラムくらいです。 ◇流星物質が地球大気に衝突する速度は秒速数10km程度であり,発光している  時間はほとんど1秒間以内である.流星の発光は,大気との摩擦によって流  星物質が蒸発して電離したガスがエネルギーを失うさいに起こる.流星のほ  とんどは高度80〜130kmくらいの上層大気で発光し,飛散・霧消してしまう.  一部の流星は本体も加熱によって発光し,その痕跡がしばらく残ることがあ  る.これを流星痕と呼ぶ. ◇ちなみに、しし座流星群の流星は、地球と正面衝突するようにぶつかってくる  ので、秒速70km!でぶつかってきます。  7秒間で大阪〜東京を飛んでしまうという猛スピード  スペースシャトルだって、秒速8kmくらいですから、その10倍。 ■今年は、しし座流星群がスゴイ、、かもしれないぞ! ◇しし座流星群は、ふだんは1時間に10個程度の流星が流れる程度です。  これは田舎の暗い空で、じーっと空をながめてですので、都会だと1時間に1個  見えるかどうかですね。 ◇ところが、33年ごとに特に多く流れる時期が数年間続きます。詳しくはあとの  しし座流星群についての解説を見て下さい。ともかく、その年に今年、来年が  あたっています。過去には1時間に何万個という流星が流れた時もあるんです。  でも、期待されたのに1時間に10個ということも、、、 ◇でも、その33年ごとは1999年に終わり、いや、でも、  期待されたのに、、、という反面、期待していなかったのに、、、という  こともありました。1966年のしし座流星群がそうです。  また、期待されていた1998年の流星は、はずれてはいなかったけれども  期待ほどでもなかったという感じでした。  いったいなぜ?? 天文学者は気がついていました。単純に33年ごとって  考えるだけではダメなんだということを  そこで考えたのは「もっともっと正確に流星のことを知らなくちゃだめだ」  1999年に、アッシャーたちは、流星に働く力を、太陽の光の圧力まで全部  入れて計算をしなおしました。これが割とよく流星の出現を現しているよう  だと1999年と2000年に明らかになりました。アフリカなどで出現した流星雨を  ほぼ正確に予想することができたのです。でも、まだはずれもあるので  さらに理論に修正を加えています。    下が最新の予想です。  時刻はいずれも日本中央標準時です。なお、ピーク時流星数は「理想的な条件  の下」で「1時間流れ続けたら」です。天の川が見えるところで1ケタ。  大都会で3ケタ落として読むのが目安です。 予想者と情報元 ピークの予想時刻と流星数 −−−−−−−−−− アッシャーとマックノート 18:55 800/ 2:24 2000/ 3:13 8000 リーチネンら 19:28 2000 /3:03 2600 /3:20 7000 ブラウンとクック 22時 1300/ 2時 500 ジェンスキンス 19:09 4200/ 2:08 1800/ 2:55 2700 −−−−−−−−−− http://see.msfc.nasa.gov/see/Leonid_Forecast_2001.html http://www.nms.gr.jp/forcast_leo01.html を参考にしました ■しし座流星群・発見の歴史 ◇流星が、毎年きまった時期に、おなじ星座の方向から広がるように流れる。  流星群の発見は、このしし座流星群によってまずなされました。 ◇1833年11月13日早朝 北アメリカ東部  人々は、天頂から南東の空を中心に「まるで雪のように」「1秒間に20個の」  流星がまさに雨のように流れました。人々は「この世の終わりがきた」と  おどろき、天文学者に「あれはなにごとか?」「また起こるのか」  「なんで起こるのか」と疑問をなげかけました。  後の推計によると、最大で1時間に1万個もの流星が流れたのです。  しかし、天文学者は、これにまったく答えることができませんでした。  そう、流星の研究はほとんどされていなかったのです。 ◇この事件の最中に、注意深く観察をおこなっていたイェール大学の  オルムステッドは自身の観察結果を新聞に発表し、市民の観察結果を募集し  また、船員などにも聞き取り調査を行いました。その結果は、  ・流星は、しし座の一点から放射状に流れた  ・放射点は恒星とともに日周運動をした  これらからオルムステッドは、現在知られているのと同じ結論を導きだし  ました。それは、  ・流星は平行運動をしている。放射状に見えるのはその投影である。  ・流星は宇宙空間から地球に突入してきている。  ということでした。 ◇この話は、ヨーロッパに伝わり大きな話題となりました。  というのは、ヨーロッパでもその前年の11月13日に多くの流れ星が  流れていたのです。さらに前の年の11月13日も、普段よりも多くの流星が  流れていました。これらの事実が意味することはなんなのでしょうか? ◇さらに調べると、1799年の11月12日で、南米で多くの流星が流れたことが  わかりました。さらに、グリーンランドやフィラデルフィアの記録もみつ  かったのです。 ◇パリ天文台の台長のアラゴーは、これらのことから、  「同じ軌道をもつ多数の天体が、毎年11月11日〜13日に地球が通過する地球  軌道と交差して存在している」としました。 ◇しし座流星群の大出現からわずか数年にして、天文学者は流星群という概念を  発見し、現在とかわらない理解をするに至ったのです。 ◇その後、1866年にもしし座流星群は出現、  しかし、1899年、1932年と、あのすさまじい流星の嵐は見えなかったのです。  天文学者は考えました「彗星から飛び出した流星は、最初は群れているが、  だんだんと散らばってしまう。彗星の軌道もすこしずれていく。  彗星と地球との位置関係が悪くなり、流星の群もバラバラになったのでは」  もう、あんなすごいことは見えないな と思っていました。   ◇1965年  日本などで1時間に数百個の流星が見られました。  このとき撮影された写真は、切手になっています。   20世紀デザイン切手シリーズ第12集 上を向いて歩こう   http://www.post.yusei.go.jp/kittecolle/20c_des_12.htm   元の写真は、国立天文台のホームページで見られます 解説もあります   http://www.nao.ac.jp/pio/leo/ ◇1966年  1965年が最高で、それで終わりだと思っていました。ところが、  1966年、アメリカの西海岸で、1時間に10万個という猛烈な流星の嵐が  見られたのです。一部の天文ファンをのぞいてはノーマークだったこの現象  たまたま天文台で観測していた天文学者が、あわてて写真を撮影したものが  あります。  http://www.cnn.com/2000/TECH/space/11/14/leonids.preview/leonids.html ■参考になる本など 800円前後で購入できる、天文雑誌3誌の12月号にはそれぞれ詳しく、 しし座流星群のことが解説されています。 早く買わないと売り切れるかもしれません。 発売日も載せておきます。 星ナビ(11/5発売):アスキー 月刊天文(10/31発売):地人書館 天文ガイド(11/5発売):誠文堂新光社 月刊天文ガイド 11月号別冊 号外! しし座流星群 11月19日未明日本に流星の雨が降り注ぐ!(580円)  よくまとまっていて、手に入れやすいと思います。  このガイドより、もっとくわしくと思った人はぜひ 長沢工著「流星と流星群」地人書館(2000円)  初心者向けに流星についてやさしく書いてあります。  しし座流星群の歴史や観察方法など、気楽に読めるでしょう 参考になるホームページ  http://member.nifty.ne.jp/science/hosiren/leonids2001.html  からリンクを貼ってあります。ご利用ください。