那須雪絵のマンガ～ここはグリーン・ウッド

白泉社　愛蔵版全４巻　各1162円

東京の名門男子高・緑都学園の寮グリーン・ウッドを舞台にした高校生学園コメディ。1980年代後半から1990年代前半にかけて、クセのある少女マンガ雑誌「花とゆめ」に連載された。

主人公の４人の少年を中心に、個性的な（でも、名門校なので基本的に優等生）グリーン・ウッド寮生たちが引き起こす、エネルギッシュでコミカルなエピソードを紹介。３年間進学なしで（著者によると、サザエさんの世界）、４年目に進学をし、一人の少年の恋愛の行く末を大団円にしている。全体としては、高校生活の楽しさと厳しさとせつなさ。友情、分かれ、出会いなどを描いた見事なジュブナイル。もう一度高校生をやりたいと思うほど。なお、私がこれを読んだのは、大学３年～社会人２年目にかけてです。

キャラクターが見事に「たって」いて、コスチューム・プレイをする番外編が多いのも特徴。少年たちのセリフはかなりリアルで、作者は男かいなと思うほどだが、実は友人らの観察によるものらしい。

グリーン・ウッドは、ＬＤ作品や、ＣＤドラマなどにもなっている（現在は、かなり入手困難）。また、多数のＷＥＢサイトで論評されているが、すでに終わっている作品のせいか、あまり広がりがない。もっと研究されてもいいと思うのだけどな。現在進行形のサイトとしてはここくらいかな。

登場人物	登場時	簡単な紹介
主人公蓮川一也	高１	通称すかちゃん　幼いころに両親をなくし兄に育てられるが、尊敬していた兄が変わった職業についたため、兄を追い越すために同じ名門高校に入学。通学圏内に実家はあるが、初恋の人が兄の嫁になったので家を飛び出し寮生活に入る。特技として、足が速い。
主人公如月瞬	高１	蓮川一也と寮で同室（２人部屋である）。髪を伸ばし、外見はものすごい美少女だが、レッキとした男。で、かわいいといわれることを気にいっている。でもハッキリ、キッパリとしたイイ性格。家は伊豆の名門旅館如月。家業をつぐことになっているが、逃げ出したくて入寮。
主人公池田光流	高２	グリーン・ウッドの寮長　大変な美男子。また、中学で生徒会長をつとめていたなど、人望もあり、女の子の人気者。通学圏内に実家（お寺）はあるが、捨て子で養子であり、よくしてくれる家族と距離をおくために入寮。ただ、モテるが、変な女に付きまとわれることおおし。
主人公手塚忍	高２	グリーン・ウッドの母体、緑都学園の生徒会長。入学時首席。剣道・柔道も有段者。しかも美形、実家は地方の名家で大金持ちと、非の打ち所がないような人物。しかし、何でももっていて何でもできる自分をあまりよくは思っていない。父や家から離れるために入寮。性格は冷酷だが池田光流と付き合ううちに、人間として幅が広がってくる。
蓮川一弘	保険医	一也の兄。両親亡き後、親代わりに彼を育てた。緑都学園の出身で、大学卒業後、保険医としてスタッフになる。通称「よい子の相談室」
蓮川すみれ	新婚主婦	一弘の妻。大変な美人。一弘の大学の後輩で、ちょっと子どもっぽいところがある。それで大人っぽいように見えた一弘に惚れて、大学卒業後ゴールイン。一也にとっては、家庭教師の英語の先生であり、初恋の人だが、兄が慣らすために彼女を家に呼んでいたのだった。
藤掛達郎	高１	熊本のみかん農家の息子。家業をつぐのがいやで東京に出てきた。同室の渡辺由樹があまりにもかわいいので、男同士ということを忘れ、、
渡辺由樹	高１	背が低くて女の子みたいな風体、ただ、如月瞬とちがって、それを恥じている。男らしくなろうと中学では野球などもやっていた。寮で同室の藤掛が男っぽくてうらやましい　と思ううちに、、
新田美恵子	アイドル歌手	本当は不健康だが、舞台でライトをあびると元気になる人気アイドル。不健康状態のとき、アイドル業がイヤになり街に逃げ出したところを主人公たちと出会う。後にＣＦで、光流と競演。
手塚渚	大学卒業数年？	忍の姉。非常に優秀なのだが、いくら努力しても忍にまったくかなわないことから逆恨みをしている。かなりエキセントリックな人物。
六条倫子	大学４年	手塚忍の結婚候補者の一人。本来は兄の旭の婚約者だった。忍と同じ地方の名家の出で、美術大学に通う。忍の兄の旭との結婚を望んでいたが、旭がぐずぐずしているうちに、持ち前の自立心で最後は失踪してしまう。忍の境遇をあわれに思う一方、それに適応している忍の性格を嫌ってもいる。